旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。



読書記録。湊かなえのドロドロとか三浦しをんの青春とか

湊かなえ『告白』

2009年本屋大賞受賞作。我が子を失った教師による、「娘は事故死ではありません、このクラスの生徒に殺されたのです」という告白から始まる物語。第一章を読んで恐ろしくなり、第二章を読んでさらに恐ろしくなり、続く第三章で恐ろしいやら気持ち悪いやら。ページをめくる手がとまらなかった。描かれる事件そのものにはリアリティがないんだけど、それを引き起こす人間たちのグロさ(凄惨なシーンがあるとかいう意味ではなく、人の意地汚さや虚飾を淡々と突き付けられることの気分の悪さ)に、読後はどうしようもなくモヤモヤになる。結局、誰もかれも自分の尺度でしかものを測ることってできないんだよなあ。あー、モヤモヤ。ラストも凄い。よくぞやってくれた、って感じ。「よくぞやってくれた!」って大声で言うのは憚られるようなラストなのだが。しかし面白かった。ひとつの事象を異なる人や視点から語るという連作の構成がまず好みだし、ひたすら独白という鬱々さもいいし。これがデビュー作ということなので、どうくるか、二作目。

 

森見登美彦宵山万華鏡』

我らがモリミーの最新作! オビには「森身流ファンタジーの新境地」とあるが、まさにそのとおり。人ならぬ妖かしの気配がぷんぷんする祭りの夜は、極彩色の美しい夢のようでもあり、終わりのない悪夢のようでもあり。その色や絵を想像するとわくわくする。この世のものとも思えないきらきらした幻想世界と、愛すべき馬鹿野郎たちによる壮大な茶番の同居。それを可能にするのがモリミーワールドの素晴らしさです。何が何だかわからないモノが出てくるのに、最終的に、ぜんぶ愛おしいっていうね。脳内がくるくるの万華鏡になることうけあい。ジブリが映像化してくれないかなあ。ハヤオの好きそうな少女も出てくるし!

 

三浦しをん神去なあなあ日常

高校卒業と同時に林業の世界に放り込まれた若者の、恋と成長の物語。と書くと、何やらこっぱずかしい感じだなあ。林業について知識がまったくなくても(たぶんほとんどの読者はそうだと思われるが)、実におもしろく、興味深く読める。それってすごい。主人公の成長ぶりが嬉しいし、山の息遣いが感じられるし、神さまみたいな存在を信じられる気になるし、どっぷり浸かって読めた。村をあげての神事のシーンでは、あろうことか涙まで出たし。山の神さまがすぐそばを通って行くシーンとか、すごくいい。村人にとっては当たり前のことで、誰も何にも気にとめてない感じとか。力強くて清々しい小説。いいよね、こういうのは。元気になる。

 

秋だからなのか、さいきん読書が楽しい。今日も新たな作家に挑戦中。まだ途中だけど、好きな感じがする。うれしいことだ。