はるばる北海道から遊びに来た友人に、静岡を案内する。観光情報に関わる仕事をしている私の、ここは腕の見せどころ。「富士山に、桜えびに、お茶に、おでんに、やきそばに」という友人の期待に何が何でもこたえたくて張り切ってしまう。張り切って、由比へ行く。もちろんお目当ては、桜色のあいつら。
生だよー。ぷりぷり。甘い。産地じゃなければ、なかなか出てこないよ!
かきあげも、生桜えびを揚げたもの。干した桜えびではない。生のものは身に厚みがあってジューシーなのさ。
駅前通りの桜えびモニュメントを見上げて写真を撮り、古い街並みをぷらぷら歩き、友人は八百屋でとつぜんビワを買う(北海道に空輸・・・)。天気がよければ富士山がばっちり見えて感動まちがいなし、友人にとっての静岡株も100倍ポイントは上がるはずだったのだが、あいにくの曇り空でとうとうその姿は見えず。富士山ったら、恥ずかしがり屋さんめ。
帰途につく友人を、富士山静岡空港まで見送りに行った。「静岡に空港ができても利用することはまずなさそうだ」と思っていたのに、開港から10日でもう友人を見送ることになろうとは。
空港には、平日夕方になぜこんなに?ってくらい見学者が来ていた。飛行機の離着陸のときなんか展望スペースは黒山の人だかり。フェンスに群がる人影を眺めつつ、飛行機がそんなに珍しいか?と問いただしたい気持ちになったが、かくいう私もじゅうぶん飛行機に釘付けだったのでなにも言えない。夢中になって「あとちょっとだけ」と飛行機を見ていたら、その間に数少ないシャトルバスが発車してしまっていたからな。あと10秒早ければ乗れたのに! しかも次の島田駅行きが2時間後ってどういうこと!? 微妙に不便なアクセス事情のせいで、結局、私が家に着くよりも、友人が札幌に着く方が早かった。あらあら。
整備中のFDA二号機。水色が明るくてイイ! 後ろのあずまやは、滑走路を間近に見られる展望台。大人気。
空港周辺は茶畑が多い(なにせ島田・牧之原あたりは一大茶産地ですから)。静岡に住んで茶畑を見飽きている私には何ということもない風景なのだけれど、友人は声を上げながら写真を撮っていた。茶畑の。そういえばこれって、ほかにはない「静岡らしい」いい風景なんだなと、はっとして気が付く。そうだ、そうだよね。触発されて、バスの窓から写真を撮ってみる。
そういえば空港内には、川根茶を無料で飲ませてくれるスペースがあった。ちゃんとカウンターに座って、一人ずつに専用の茶器が用意されて、プロが説明しながら三煎目まで淹れてくれるという素敵なもの。友人と一緒に飲んだのだが、このお茶が、「嘘だーーー!!」っていうくらい美味しかったのだ。こんなの飲まされたら、みんな川根茶を買って帰るに決まってるでしょ。
旅を終えて飛行機に乗る直前にこういうのがあると、それだけで静岡のことが好きになりそうだなぁと思った次第。本当に美味しかったのだ、香りと、甘みと、清々しさとがあって。聞けば全国の品評会で第一位をとった農園のお茶だとか。そんなの抜きにしても、とにかく美味しかった。びっくりした。友人もびっくりしていたので、私は満足した。