旅と日常のあいだ

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読書記録。瀬尾まいこ、三浦しをん

瀬尾まいこ『戸村飯店青春100連発』を読む。

文句なしにおもしろかった。もう、文句なしに青春炸裂。兄弟っていい! 若さっていい!いかにも「青春ですよー」って感じのいやらしさがまったくなくて、清々しさに涙が出そうになった。まぶしかったり、羨ましかったりで。ああ、久しぶりにスカッとするいい小説を読んだな~。

悩みも、迷いも、人に知られぬ葛藤もあるけど、それを救ってくれる人や場所があるということ。自分を取り巻く環境って自分では選ぶことができなくて、それゆえに鬱陶しかったり逃げ出したくなったりするけれど、そこに確かにある愛情とか、愛着とか、どうしようもなく温かい縁とか、そういうものが自分を再生させてくれること。そういう希望を見た思いだ。読んで幸せになれた。今のところ、瀬尾まいこの小説は全部いい。家族を書かせたら、とても素敵だ。

 

三浦しをん『光』

これはまた、ひどく恐ろしい話だった。なんという、救いのなさ。

自分が生きるうえでの平穏を守るために裏切ったり失ったりすることは多かれ少なかれ必要だけれど、それをリアルに淡々と見せつけられるのは、やっぱりつらいものだった。読みにくいという意味ではまったくなくて。ミステリーの要素もあって、スイスイとすごく面白く読んだ。結局、したたかで、超現実的にものごとを考えられる人がこの絶望的な世界を生き抜くことができるのか。タイトルが、いいなと思った。光、か。それにしても私は、喪失と再生、みたいな話が好きだよなあ。