旅と日常のあいだ

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少女にしか見えないもの。桜庭一樹『青年のための読書クラブ』 

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桜庭一樹『青年のための読書クラブ』を読了。少女を書かせたらうまい、という定評のある作者。読書好きな知人が「きっと好きだと思う」と言ったとおり、歴史ある名門女子校を舞台にしたこの小説はもの凄く私好みだった。

登場する少女たちのなんと魅力的なことか!したたかさ。傷つきやすさ。過剰な自意識。夢見がち。それでも、信じられる何かを探さずにはいられない、悲しいような無邪気さ。私の好きな「少女の記号」とでもいうべきものが、古風な文体と、どこか退廃的な空気の中にぎゅうぎゅう詰まっている小説だった。

天真爛漫、ふわふわと甘い、無邪気な小鳥のような少女よりも、凛として冷めていて、常に世界を疑っている、そういう少女像に惹かれる(これが少女ではなく少年だったら、話はまた別。

(以下引用)-------------

いまにも壊れそうに、左右にゆっくりと揺れ始めた階段を、永遠(とわ/少女の名前)は恐れることなく上った。壊れた地球儀や、バルコニーの大道具、古臭いドレスの山など不可思議なガラクタが、ロマンチックな悪夢が暴れるように、上空からつぎつぎと落ちてきた。

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少女たちの「読書クラブ」の歴史を紡いできた校舎が、今にも崩れようとしている場面での一節。情景を想像すればするほど、狂気のような美しさがあると思う。「ロマンチックな悪夢」こそ、少女が見るにふさわしい。というか、少女にとっては世界のすべてが「ロマンチックな悪夢」なのだろうな、たぶん。

青年のための読書クラブ (新潮文庫nex)

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